20231109
兄が結婚する(した?)らしいことを母親づてに聞いた。兄の外での姿を統合すると、柔和で人当たりが良くて害意を抱かせない老若男女に愛される人間だが、兄のことを思い出すとき、兄は椅子に沈み込んでいて非常に静的で寡黙だった印象がある。彼は合理性の塊だったから、外での人間にはそうする必要があると分かっていてそう振る舞えたし、家ではなんの利もないからわざわざ愛想を振りまく必要はなかった。父に対しては時々適当にあしらうために少しだけにこやかだった。どうやら既に両家の顔合わせをしたらしくて、動揺した。私は、あの家では人間の再生産は起こらないと思っていたし、兄も同様の感覚を持っていると思っていた。顔合わせの時の兄の写真を見て、兄が赤子を抱く姿が想像できた。兄が実家を出てから、自分も実家を出て、何年かかけて、今後我々には一緒に暮らしていたような時間は、どちらかの葬儀までもう二度と訪れないと理解したが、それが本当の本当に確定してしまった。兄に結婚しないでほしいし子供も持たないでほしい。彼に強い血族が現れて、その人間が私と過ごした以上に長い時間を過ごすことに耐えられない。